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【伝わる写真術】伝わる写真は“引き算”が命! プロが考える構図作りのポイント

写真撮影における「引き算」の重要性

写真撮影に関しては、既に世の中に溢れるほどの情報が出回っており、私がここで改めて述べることはないかもしれない、と一時は考えていました。

しかし、自分の視点や経験をアウトプットすることは価値があると思い直し、このテーマについてお話ししたいと思います。

今回は、タイトルに掲げた「引き算」の視点から、伝わる写真のポイントをお届けします。

なお、具体的な例として実際の写真を掲載したいところですが、コンプライアンスの都合上テキスト中心となります。ご了承ください。
(※後日写真を追加する可能性はあります。)

仕事としての写真は、何を伝えるべきか?

プライベートな作品については、私はルールに縛られる必要はないと考えます。写真は、自分の感情や思想をアウトプットする芸術の一形態だからです。

しかし、クライアントに納める仕事としての写真となると話は別です。ここで最も重要なのは、クライアントが「何を伝えたいのか」を正確に映し出すこと。つまり、主題を明確に構成することが鍵になります。

構図とはなにか

まず、「構図」という言葉の意味を確認してみましょう。

1 絵画・写真などで仕上がりの効果を配慮した画面の構成。コンポジション。「—がいい写真」「斬新な—」
2 構成された図形。
3 物事を全体的にとらえたときのすがた・かたち。「未来都市の—を語る」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

仕上がりの効果を配慮した画面の構成

この1番にある「仕上がりの効果を考慮した画面の構成」が、まさに構図の本質です。写真撮影においては、「情報の整理」が極めて重要であり、私はこれを「整理整頓上手は構図上手」と表現しています。

情報が整理された写真は、見る人に強い印象を与え、メッセージがスムーズに伝わります。一方で、情報が整理されていない写真は、漠然とした印象を与え、何を伝えたいのかが不明瞭になってしまいます。

では、構図が整った写真
=仕上がりの効果を配慮した画面の構成ができている写真
とは何か

構図を整える3つのステップ

  1. 主題を明確にする
    構図作りの第一歩は、撮影の前段階で「何を最も伝えたいのか」を明確にすることです。クライアントが何を主題にしたいのかを理解し、それを中心に据えた構図を考えます。

  2. 撮影時の工夫
    主題が定まったら、実際の撮影で構図を工夫します。自信がない場合は、事前に構図の例を研究することをお勧めします。主題を中心に置きつつ、不要な要素を排除していきます。

  3. 編集で仕上げる
    撮影だけで完璧な写真が撮れることは稀です。写真編集で最終的な調整を行い、完成度を高めます。

写真編集で行う3つの調整

写真編集、具体的はやることは以下です。

  1. 構図の調整
    被写体を際立たせるためにトリミングや角度の調整を行い、最も効果的な画面構成に仕上げます。

  2. 色味の調整
    明暗や色調を補正し、写真全体の印象を整えます。これにより、見る人の感情や視覚的なインパクトをコントロールできます。

  3. 不要な情報の削除
    最も重要なのが、この「不要な情報の削除」です。撮影時点で要素ごと排除できればなお良いですが、なかなかそうもいかないケースがあります。

    余計な要素が残ったままでは、写真の主題がぼやけてしまいます。不要な要素を削ぎ落とし、主題を際立たせることで、写真全体の完成度が大きく変わります。

不要な要素を削除しないと、焦点が定まらない写真になります。被写体は、視覚的な雑然としたものによって不明瞭になります。画像は、本質的にノイズが多いものです。これは、核となるメッセージから注意をそらす、不要な単語やフレーズが散りばめられた、編集が不十分な文章に似ています。

3番が意識できているか否かで、仕上がりは全く異なるものになります。

この記事を書くに至ったきっかけ

クライアントから相談を受け、以前担当していたフォトグラファーが撮影した写真を拝見したところ「3.不要な情報の削除」がほとんどできていない写真でした。
そもそも映り込んだ諸々が「不要な情報」であり「削除」という行程を踏んで良いものだと気が付いていないのです。

今回、撮り手による仕上がった写真の明確な違いはどこから生まれるのか。何がクライアントの満足度に繋がっているのかを言語化してみました。

まとめ

写真は情報整理の芸術と言っても過言ではありません。
主題を明確にし、不要な情報を排除することで、伝わる写真を撮ることができます。写真撮影の基本を押さえた上で、「引き算」を意識した構図作りを心がけてみてください。

それが、クライアントにも、見る人にも「伝わる写真」への第一歩です。

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横田 裕市 / 写真家
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