『妻が願った最後の「七日間」』を読んで。
こんにちは、横田裕市(@yokoichi777)です。
読んだ本についてのレビューなんですが
下記の記事をTwitterやFacebookで見たことがある方は多いのではないでしょうか?
今年の3月の記事ですが
私もこの新聞記事のtweetを読んで、すぐ妻に共有しました。
今回、この詩にまつわる話が書籍化されました。
2018年1月19日に「がん」で他界した宮本容子さん(享年70歳)が残した一編の詩「七日間」。もし、神様が七日間の元気な時間をくれたなら、やってみたいこと……そこに書かれていたのは、手作りの料理や裁縫、お片づけ、ドライブ、家族の誕生会、女子会、そして夫との静かな時間など、日常のごく当たり前のことばかりでした。
なぜ、このような詩が生まれたのか?
18歳で出会ってから52年間も寄り添い続け、小さな幸せを積み重ねてきた夫婦だからこそ書き合えた「二人の物語」には、詩「七日間」が生まれた背景が書かれています。本書では、詩「七日間」の全文と、夫婦が歩いてきた道のりをまとめています。
この物語を、あなたは誰に届けますか?
(書籍紹介より引用)
奥様・容子さんの夫・家族を愛する思いと
それを支えてきた家族、御主人・英司さんの記録が綴られた本です。
上記の新聞記事には奥様の詩は実は全文掲載されていません。
まず本の最初に、詩の全文が掲載されています。
1. 詩「七日間」
2. 「七日間」ができるまで
3. 夫婦の物語
4. 夫婦について
5. 最後の返信
全部で5章、100ページ弱なのですぐに読むことができます。
最初、外出先で読もうとしたんですが、明らかに選択がミスりまして笑
涙で読み進むことができない
最初数ページで涙腺が崩壊しそうになったため出先で本を閉じました。
結局自宅で全部読んだんですが、何度涙を拭いて読み進めたでしょう。
新聞に掲載された後、問い合わせが殺到して書籍化に至ったそうですが
スパンが短く、著者の御主人である英司さんもまだ心が落ち着かぬ間に文を綴ったのではないでしょうか。
もしくは書くことで自らを落ち着かせていたのか、想像するだけで胸が苦しくなります。
人は生涯で3回死ぬという話。
一度目は、肉体がなくなったとき
二度目は、人々から忘れられたとき
三度目は、生きていたことの記録が消滅したとき
「もうこれ以上、妻に死んでほしくない、まだ終わらせたくない。。」
そう思った英司さんが筆をとり、
出したエントリーが新聞のコラムに繋がり、この書籍に繋がったわけですね。その思いがここまでに至るのがすごい。
夫婦にとって大切なこと、尊重し合うこと。支え合うこと。
容子さんが病床に伏せている間も英司さんがどれだけ献身的な介護をしてきたのかが
容子さんの日記を読んで伝わってきました。
私も今や独身ではなく、妻がいる身なので
内容の受け止め方が二十代の独身だった頃の自分が読んだのとでは雲泥の差だと思います。
自分の妻が病床に伏せた時に自分にこんな風に献身的でいられるだろうか、とか色々と考えさせられました。
夫と妻。本の主演を自分たちに置き換えるだけで感じる部分が多すぎて大変でしたが
本当に読んで良かったと思います。
第3章では晩年に御二人が交換日記をしあい、
馴れ初めからマイホームを購入するまでのエピソードが綴られています。
もちろん昔の記憶だし、美化されていることもあるでしょうけれど読んでいると
御二人が出会った頃から互いを気遣い、尊重し合い、支え合って家庭を築いてきた事がわかります。
晩年に思い出しながら書いてるのがすごいなと。私は記憶力がないので、2人の思い出も妻のほうが鮮明に覚えてくれていますが、だいたいは私は忘れているので、晩年にこんなことしようにも思い出せる自信がありません。笑
そのためにも私の場合、写真を沢山撮っておかないとなと思います。
互いに対等であること。
意外とこれができずに共依存になってしまったり、対等な立場で互いにコミュニケーションをとれない男女を時おり見かけます。かくいう私も付き合いたての頃は自分が至らず妻に迷惑をかけた時期もありますが、持ちつ持たれつ、互いに成長してきて今があります。上下関係などなく、従えるでもなく。忌憚なく話し合える仲が良いです。
2人の時間、家族の時間をもつことの大切さ。
英司さんが定年まで一家の大黒柱として、サラリーマンとして働いてきた姿も本には描かれています。
土日休みじゃなったために、子育てしながら土日は寂しい思いをしていたという容子さんの正直な思いや、出産〜育児も大変だったんだなという一家庭の様子がわかります。ある一つの家庭の出来事をそのまま追った内容なので、こういう家庭もあるのだ、という見方で頷くことも多く読みました。
英司さんがやっと退職し、夫婦でこれから自由な時間を謳歌しようと
その最中での今回の出来事があったということで、その辺の話を読んでいると涙が止まりませんでした。
大切な人を残して逝きたい人なんていない。
「どうぞ神様、私をもっと生かしておいてください」
大好きな人を残して、この世を去りたい人なんていませんよね。
残された人々の心には、深いかなしみを残していくわけですし、、
必死に生にしがみつくその姿には嘘偽りはなく、生きたかった容子さんの言葉が刺さりました。
生のある限り、大切な人と共に生きたいという願いは
今も昔も変わらず人々の中にある普遍的な願いだと思います。
自分の愛する人に「愛する人の死」というかなしみは体験させたくないので、1日でも妻より長く生きたい、そういう思いがあります。
お二人よりも全然若い世代ですが、年代世代関係なく
日々大切な人と過ごす時間を大切にしたいとこれまでも思ってきましたし
この本を読んで一層愛する妻との時間を大切にしていこうと心に誓いました。
毎日を大切な人と幸せに生きたい。
この本は
愛する人がいる人
今は愛する人がいなくとも、いずれ素敵な恋愛をするんだという人
皆にぜひ読んでほしい一冊です。
最後に、背表紙にあった容子さんの言葉をおいておきますね。
延命治療は、しないでね。
人工呼吸器、胃ろう、心臓マッサージ、やめてくださいね。
できるだけ、痛くない、つらくない、治療を選んでください。
私は、残念だけれど、小春とあなたを置いていくけれど、
しっかり生きてくださいね。
天国で待っていますからね。ゆっくり来てください。
もしあなたがいない時間に私が死んでも、決して後悔しないでくださいね。
あなたと関わってきたそれまでの時間が大事なのだから。
突然何があっても、私はあなたに感謝し、ずっと愛して、幸せですからね。
(2016年8月31日の日記より)