
#攻殻機動隊SAC_2045 を見て感じた違和感と、気付く旧作の良さ。
アニメ・攻殻機動隊StandAloneComplex最新作
「攻殻機動隊SAC_2045」がNetflixで4月23日に全世界に公開されました。
攻殻機動隊StandAloneComplex(以下略 SAC)は、
2002年に1stシリーズが公開。その後2004年・第二弾2ndGIG、2006年・第三弾SolidStateSocietyという風に3シリーズが続いています。
今回のSAC2045は、その正統続編として製作された14年ぶりの新作。
(ここでは旧劇場版、攻殻機動隊ARISE、および新劇場版には触れません)
1stの時代設定は2030年、
SAC2045はタイトルにもある通り15年後の2045年が舞台となっています。
攻殻機動隊というアニメーションは、日本を代表する作品として世界的にも高い評価を得ている作品と認識しています。
私も本作品が好きな視聴者の一人です。
公開前からの大々的なPRもあり待望の最新作。どんなモノかとNetflixで視聴をしたところ、違和感を感じ、わるい意味で期待を裏切られる作品となりました。
何が自分をそう感じさせたのか、要素毎に書いてみます。
絵(作画・イメージ)
当然ながらまず最初に目に飛び込んでくるのは
作画、イメージ(絵)です。
髪の毛や肌の質感の伴わないツルツルした3DCGアニメーション。
今の視聴者は高品質な3DCGを目にする機会が多く、目が肥えています。
私もつい最近までPS4のゲーム「ファイナルファンタジー7 REMAKE」をプレイしていてその映像美に感動していました。
そんな矢先に、本作の、この2020年の作品とは思えないクオリティの3DCGアニメーションには驚きました。
この品質ならそもそも3DCGでやる必要あるのか?そうツッコミを入れざるをえないレベルに感じ、まぁしばらく見ていれてば慣れはするものの、残念に感じた事は否めません。
今回のキャラクターデザインを担当したイリヤ・クブシノブ氏の絵にも賛否はあると思いますが、以前より好きなイラストレーターであった事もあり、新デザインは個人的には大いに有り。新キャラクターの江崎プリンはイリヤ節が炸裂したデザインに思えます。(キャラの良し悪しは別)
音楽
攻殻機動隊SACシリーズの音楽といえば、
菅野よう子氏の耳に残る素晴らしい楽曲は作品を構成する上でも欠かせない存在でした。
ところが今回の音楽は、氏が手掛けていません。
本作の担当は戸田信子氏、陣内一真氏。
新しい担当者には申し訳ないですが、正直耳に残る楽曲がありませんでした。平凡。
オープニング、エンディング、劇中歌等、
菅野よう子氏の音楽はそれ単体で作品たり得る仕上がりでサウンドトラックを所有する粋の代物でしたが、本作の音楽にそのような趣は感じられません。
また、個人的に旧作のOPを歌っていたOriga氏の歌声がもう聴けないというのはとても悲しい。(2015年に死去)
構成
前半12話の公開ということではありますが、冗長な展開が続きテンポが良いとはいえません。12話で展開する必要あるのか疑問に思うほど。
視聴者を惹きこむような展開が少なく退屈。
途中で一度視聴を中断してしまいました。
ストーリー
話数を重ねる中で、物語の本筋からそれたサブ回が存在するのは1〜2クールアニメにはあるあるですが、本作のサブ回のクオリティの低さに驚きました。
これまでのシリーズではサブ回までも話に深みがあり
世界観の構築に貢献していたように思えるし、単に観ていて面白かったです。
本作の一例を挙げるならばバトーがじいさんばあさんの銀行強盗を手伝うサブ回とか、つまらなくてびっくり。
仮想通貨、年金、昭和の銀行強盗行為、ランドセル、スイスでの安楽死の話。どれを取っても時代が近未来SFとは?と投げかけたくなります。
時代設定が1stから15年も経過した未来、2045年のはずなのに関わらず、難民問題、仮想通貨、携帯端末など話題や設定が限りなく現代的というか時代が後退しているのではないでしょうか。
「近未来SFの金字塔「攻殻機動隊」」と謳っておきながら
全然近未来SFのわくわくする要素、情景が皆無で観ていて好奇心をかき立てられません。
ポストヒューマンなる新人類との対峙が物語の核になりますが、
これまでのテーマと比べると弱い印象。ありきたり。
なぜこのような作品になってしまったのか
Netflixの視聴者層に合わせて作品を作った結果、凡庸かつ幼稚な作品になってしまったのではないかという見方があります。(海外のレビュアーも視聴対象の変化を述べていました)
視聴者の年齢層が旧作よりも低めに設定されているため、旧作のファンには耐えがたいような作品になってしまったということ。
これまでの日本国内で作ってきた作品と基本方針がそもそも異なるのであれば、作品が別物になってしまうというのは仕方ないのかもしれません。。
シンプルに「2Dアニメーションで、音楽が菅野よう子なら良かった」という意見も少なくない印象。(SNSやWeb見る限り)
個人的には格好良く日本を代表するイケてるアニメだった攻殻機動隊が、
こんな平凡な作品として世に出てしまうなんてことは
2020年の個人的アニメ史ではそれなりにショックな出来事でした。
改めてSAC1を観て
— 横田 裕市 / 写真家 (@yokoichi777) April 29, 2020
なんで最新作に落胆してるのか端的に述べると
旧作にあった知的な面白さがなく
平凡な作品に成り下がったからに他ならない。#攻殻機動隊_SAC2045
筆を進めるにつれて、旧作の素晴らしさが際立っていく
作品の良し悪しというのは、
どうしても他の作品や旧作と比較され各要素毎に論じられてしまいがちです。
このnoteを書きながら、改めて1stシリーズが作品として極めて完成度が高かったことに驚きます。
そしてNetflixでは大変有難いことに
攻殻機動隊SACの過去作品が全て視聴できます。
SAC_2045を視聴し終えた流れでそのまま1stシリーズを鑑賞し終え、現在2ndシリーズを視聴している最中ですが、
やはり新作よりも旧作の方が、圧倒的に面白いです。
作品としての完成度
露骨に感じ取れるほどに素晴らしい。
今から18年前の作品なのに、全く色褪せてないのが本当にすごい。
最終的に
攻殻機動隊SACを1stシリーズからぜひ観てくれ!って話にはなるのですが
上記に述べたようなことがほぼ解消されていて
視聴者を魅了するだけのものが1stにはあります。
(前半の作画はちょっといまいちですが)
18年前の作品でも、これだけの力がある。
話は変わりますが、23年前に発売したゲーム・ファイナルファンタジー7は根強いファンが多く、待望のリメイクが先月発売になりました。
私も待ち望んでいたコアファンの1人ですが、
期待を裏切ることなく、古きを受け継ぎつつも、
新しいファイナルファンタジー7として立派に素晴らしい作品として蘇ったと感じました。
それをプレイした後だからなのもあるかもしれないが、
今回の攻殻機動隊の仕上がりには残念でなりませんでした。
良い作品をスタッフの人も作りたかったろうになんでこんな風になってしまったのか、後半でどこまで持ちかえせるのだろうか、などと多少なり期待は寄せておきますが、、
違和感の正体
このnoteを書きながら気付いたこと
「ああ、自分はこの新しい攻殻機動隊の視聴対象では無いのだな」
この悲しい感情だけが残りました。
これが違和感の正体なのでしょう。
未視聴の方はぜひ
旧SACシリーズを鑑賞をおすすめします。
最後にIGNのレビュー記事のリンクをおいておきます。
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