
タイパの悪化が引き起こすゲーム離れがわりと深刻な件。
REALITY社 代表取締役社長であるDJ RIO氏(荒木英士氏)がコメントした
ゲーム業界に関する興味深いレポートに関する投稿
ゲーム産業についてのすごい充実したレポートが出てる。
— DJRIO.eth @ REALITY (@djrio_vr) January 23, 2025
過去数年でゲーム産業は多くの予想を裏切り成長が止まった。映画や動画など他のエンタメは伸びているのに。
過去10年の成長をドライブしたスマホ市場拡大やF2P・バトルパス普及などは一段落。ソフトの価格も上がってない等が理由。 pic.twitter.com/mY0uiUTNTO
これについてnote CXO深津氏がSNSで述べたコメントが、ゲーム産業が直面する重要な課題を浮き彫りにしている。
この10年映画・動画は、「2時間の縛り」「倍速再生」とか「ショート動画」とか、「時間あたりの体験強化と圧縮」で勝負をしてきたけど、ゲームは「単価あたりプレイ時間」が肥大化してきた感。5000円で200時間遊べる…みたいのは、「可処分時間の奪い合い」を発生させる。コスパは高まるが、タイパが悪… https://t.co/qa13GiBf3V
— 深津 貴之 / THE GUILD (@fladdict) January 23, 2025
この10年映画・動画は、「2時間の縛り」「倍速再生」とか「ショート動画」とか、「時間あたりの体験強化と圧縮」で勝負をしてきたけど、ゲームは「単価あたりプレイ時間」が肥大化してきた感。5000円で200時間遊べる…みたいのは、「可処分時間の奪い合い」を発生させる。コスパは高まるが、タイパが悪化してる。そこが売上のアップサイドに影響を与えている気がする。
実際、「5000円で1000時間遊べる」みたいなAAAが覇権とったら、「他のゲーム売れない」になる。本当は「超濃密な1時間をご提供」の方向を目指すほうがみんなハッピーなんだが… そっち方向のゲーム設計に限界がある問題っぽいの。
より資料の内容を知りたい方は、以下の要約noteをご覧あれ。
可処分時間の奪い合いに、ゲームが負けている
深津氏のコメントに同意できる心当りが、私にもある。
典型的なRPGのザコ敵エンカウントが時間のムダに思えてやる気が消失したのもこういう変化がありそう。
— 横田裕市 (@yokoichi777) January 23, 2025
ストーリー上必須のバトル以外したくない気持ちになる。エンカウント無し設定は古いゲームに実装されがちだけど、今後増えていくのではないか。 https://t.co/cow3Y1qaNx
かつては「ゲームにタイパの話を持ち込むのは無粋」とされていた。
しかし現在は、書籍や音楽、映画など多様な娯楽が溢れる中で、限られた時間を効率的に使おうとする傾向が強まっている。
結果、タイパが悪化するゲーム体験は敬遠されやすくなっている。
※タイパ(タイムパフォーマンス):費やした時間に対して得られる効果や満足度を表す言葉。
ゲームのタイパ問題
ザコ敵エンカウント、レベル上げが億劫
→時間の無駄(タイパの悪化)
私がタイパの悪化を感じ始めたのは、まさにRPGゲームをプレイしているうちにザコ敵とのエンカウントに嫌気がさし、途中でゲームを辞めてしまった体験からきている。
なぜこんな単純作業ともいえる反復行為に、
私の時間を割かなければいけないのか
10代からRPGが大好きだった自分が、こういった理由でゲームを途中放棄する日がくるなんて、本当に想像もしていなかった。
「可処分時間の奪い合い」を考えることなく、無我夢中に目の前のゲームに没頭できた子供時代。それがどれだけ恵まれた時間だったか、大人になりひしひしと感じている。
積みゲーや積ん読といった状態も、可処分時間をそこに自由に割けないために起きる現象だろう。
タイパを意識した結果
ゲーム実況のありがたみを知った
かつて私はゲーム実況がなぜ人気なのか、その理由を分かっていなかった。
そしてゲームに時間を割けなくなってきた時、理由に気づいた。
ゲーム実況が盛り上がる理由は、プレイヤーが自分でゲームをプレイする時間を割かずとも、ストーリーやゲーム体験を手軽に楽しめるからだろう。私自身もゲーム実況のありがたみを感じるようになった。
難易度設定イージーにするようになった
また、ゲームの進行を優先するために難易度を「イージー」に設定するようになった。以前は「イージー設定は初心者向け」と考えていたが、実際には「時間が取れないプレイヤー向け」という側面もあるのだと気づいた。
タイパを尊重しないゲームは敬遠されていく
本件に関連して気に留めていたエピソードがひとつ
1月23日に発売した新作ゲームタイトル「エンダーマグノリア」の難易度設定に関する話。
マジでえらいと思う pic.twitter.com/5lR5eu5U9m
— ひまだ (@EGFinal_mada) January 22, 2025
ただ、『エンダーマグノリア』の難易度 はかなり議論を重ねました。個人的には、 より難しくしたほうがいいのではないかと思ったんですね。
前作を遊んだ方が本作をプレイしたときに、「物足りない」、「前 作より簡単だ」と感じることがあってはならないという考えがあったんですね。 ですが、メインプログラマーに「何でも死にゲーにするのはやめませんか」と言われまして、それが僕に刺さりました。彼が言うには「ユーザーとしては、死にゲーは年に1本でいい。それはフロム・ソフトウェアのゲームでいいんです」と言うんです。
死にゲーはその高難易度こそ大きな「売り」だが、
それはタイパと対極にある、諸刃の剣。
前作エンダーリリーズ同様に死にゲーだったなら、
私は途中でゲームを放棄したかもしれない。
この意見を述べたメインプログラマーの意見が素晴らしく、SNS上でもすごい反響。この判断が結果的に『エンダーマグノリア』の満足度に大きく貢献したのことはいうまでもない。
どんなに素晴らしいゲームだろうと、
ユーザーの時間を奪っていることに
センシティブにならなければいけない
タイパを尊重するゲームは、
それすなわち、ユーザーの限られた時間を尊重しているゲームだ。
タイパを尊重するゲームの未来
今後、ますます多様化する娯楽コンテンツの中で、ゲーム産業が市場成長を維持するためには、タイパを重視したゲーム設計が鍵を握るだろう。
子供時代のように、時間を気にせずゲームに没頭できる環境は大人になった今ではとても貴重だ。
そのような体験を提供できるゲームの形を模索することが、業界全体の発展に繋がるのではないだろうか。
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